黒猫の唯一の趣味は望遠鏡で夜空を眺める事でした。
来る日も来る日も、祖父からもらった骨董の望遠鏡で夜の空を眺めていました。
年代物であまりきれいに見える代物ではありませんが彼にとっては「ぼんやりしている」方が沢山の想像がふくらんで好都合。
「あの星は今日は緑色に見えるなぁ。春が訪れて草木が茂っているのかな」
「こちらの星は赤く光っているぞ。国と国がけんかをしているのかもしれない」
眠りにつく前の数時間、さまざまな空想にふけりながらその続きを夢で見るのが彼の毎日の楽しみでした。

望遠鏡 お話